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NPO法人「事業報告書」の書き方

NPO法人では、毎年、事業年度終了後の3か月以内に、事業報告書、活動計算書、貸借対照表、財産目録、役員名簿、社員のうち10人以上の者の名簿等の書類を所轄庁に提出しなければなりません。

これらの書類の内、「事業報告書」の書き方については一定のルールがあります。
「事業報告書」は、添付記載例のとおり、次の内容で構成されています。
1 事業の成果
2 事業の実施に関する事項  (1)特定非営利活動に係る事業 (2)その他の事業

まず、「1 事業の成果」については、事業を行ったことによりどのような成果があったか、を中心に記載します。その他、事業を行ったことに対する所感を記載します。
例えば、「○○に関する情報提供事業として、広報誌△△を発行し、○○の普及に努めた。」「□□に関する教育事業として、関係者向けの合同勉強会を開催し、関係者の知識の向上に貢献した。」などとします。

次に、「2 事業の実施に関する事項」ですが、「(1)特定非営利活動に係る事業」と「(2)その他の事業」に分かれています。
ここで、定款の「事業」に「その他の事業」を定めていない場合は、「(2)その他の事業」の記載を削除します。

「(1)特定非営利活動に係る事業」と「(2)その他の事業」の記載事項は、次の内容となっています。
①事業名   ②事業内容   ③実施日時   ④実施場所   ⑤従事者の人数
⑥受益対象者の範囲及び人数 →「(1)特定非営利活動に係る事業」のみ   ⑦事業費の金額

記載方法のポイントは、次のとおりです。
①事業名
   定款の(事業の種類)に記載されている事業名をそのまま記載します。
②事業内容
   「広報誌△△を発行した。」「関係者向けの合同勉強会を開催した。」などと、具体的に記載します。事業年度の間で行わなかった事業については、「今年度は実施せず。」と記載します。
⑥受益対象者の範囲及び人数
   各事業の実施に伴い利益を受けた対象者の範囲(例えば「○○市民」「△△職員」など)及びその人数を記載します。
⑦事業費の金額
   各事業ごとの金額が、一緒に提出する活動計算書の各事業ごとの金額と一致し、「(1)特定非営利活動に係る事業」と「(2)その他の事業」の金額の合計が、活動計算書の「事業費計」と一致していなければなりません。ここでは「管理費」は含めませんので、あくまでも「事業費計」との一致が求められます。

記載例を添付致しますので、参考になさってください。

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  2019/01/27

介護保険事業所開設時における運営法人の定款目的について

ホームヘルプやデイサービスなどの介護保険事業所を開設するためには、管轄の都道府県(または市区町村)から介護保険事業者指定を受ける必要があり、その要件として法人格が求められます。
そして、法人の定款目的には、以下のような所定の事業目的が記載されていなければなりません。

(1)訪問介護事業所(ホームヘルプ)、通所介護事業所(デイサービス)、訪問看護事業所、福祉用具貸与事業、 特定福祉用具販売事業を各々行う場合
→「介護保険法に基づく居宅サービス事業」で原則として各々カバーできると考えられます。ただし、分かり易く記載するためには、「介護保険法に基づく訪問介護事業」「介護保険法に基づく福祉用具貸与事業」等の実際に行う事業も併記するのが望ましいでしょう。

※特定福祉用具・・・・福祉用具のうち、肌に直接触れるなど貸与になじまない物をいいます。腰掛便座、特殊尿器、入浴補助用具、簡易浴槽などがあります。

(2)介護予防訪問介護事業所、介護予防通所介護事業所、介護予防訪問看護事業所、介護予防福祉用具貸与事業、特定介護予防福祉用具販売事業を各々行う場合
→「介護保険法に基づく介護予防サービス事業」で原則として各々カバーできると考えられます。ただし、分かり易く記載するためには、「介護保険法に基づく介護予防通所介護事業」「介護保険法に基づく特定介護予防福祉用具販売事業」等の実際に行う事業も併記するのが望ましいでしょう。

(3)認知症対応型通所介護事業所、認知症対応型共同生活介護事業所(グループホーム)、小規模多機能型居宅介護事業所を各々行う場合
→「介護保険法に基づく地域密着型サービス事業」で原則として各々カバーできると考えられます。ただし、分かり易く記載するためには、「介護保険法に基づく認知症対応型通所介護事業」「介護保険法に基づく小規模多機能型居宅介護事業」等の実際に行う事業も併記するのが望ましいでしょう。

※小規模多機能型居宅介護事業・・・・利用者の選択に応じて、事業所への「通い」を中心として、短期間の「宿泊」や利用者の自宅への「訪問」を組合せ、日常生活上の支援や機能訓練を行うものです。

(4)介護予防認知症対応型通所介護事業所、介護予防認知症対応型共同生活介護事業所(グループホーム)、介護予防小規模多機能型居宅介護事業所を各々行う場合
→「介護保険法に基づく地域密着型介護予防サービス事業」で原則として各々カバーできると考えられます。ただし、分かり易く記載するためには、「介護保険法に基づく認知症対応型共同生活介護事業」等の実際に行う事業も併記するのが望ましいでしょう。

(5)居宅介護支援事業所を行う場合
→「介護保険法に基づく居宅介護支援事業」と記載します。

(6)介護予防支援事業所を行う場合
→「介護保険法に基づく介護予防支援事業」と記載します。

(7)介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設を各々設置、運営する場合
→「介護保険法に基づく施設サービス事業」で原則として各々カバーできると考えられます。ただし、分かり易く記載するためには、「介護保険法に基づく介護老人福祉施設の設置、運営」「介護保険法に基づく介護老人保健施設の設置、運営」等の実際に行う事業も併記するのが望ましいでしょう。

(8)訪問介護事業所、介護予防訪問介護事業所において、介護保険法の範疇外となる家事援助も行う場合
→「居宅等における家事援助事業」も記載すべきです。

(9)訪問介護事業所、通所介護事業所等において、介護タクシー事業も併せて行う場合
→「一般乗用旅客自動車運送事業」も記載しなければなりません。分かり易く記載するためには、「患者、要介護者及び高齢者等の搬送事業」「介護タクシー事業」も併記するのが望ましいでしょう。

 

 

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  2018/01/28

遺産分割協議書の作成<新たな遺産が出てくることへの対処>

相続関連業務で、遺産分割協議書を作成することがあります。
この遺産分割協議書を作成する際に、見落としがちなポイントがあります。それは、「協議書を作成した後に、新たな遺産が出てきたらどうするか」という点です。被相続人の死亡後に、高価な美術品が出てきたり、預金口座がもう一つ出てきたなどということが起こることがあるからです。

ここで、その際の対応について協議書に特に記載していない場合に、新たな遺産が出てきたときは、当該遺産について相続人全員で遺産分割協議を行うことになります。
このような手間を避けるには、最初に協議書を作成するときに、次のいずれかの方式を相続人全員の合意のうえで記載しておくことが必要です。

A 本協議書に記載なき遺産が後日判明した場合は、相続人〇〇〇〇が全て取得する。

B 本協議書に記載なき遺産が後日判明した場合は、各相続人が法定相続分の割合で取得する。

ただし、Bの方式とした場合で、分割の難しい、例えば高価な美術品が出てきたときなどは、結局その遺産について代償分割するか換価分割するかを相続人全員で話し合わなければなりません。
よって、相続人全員の合意が取れれば、Aの方式を記載しておくことが後々一番手間がかからないと言えそうです。

 

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  2017/10/29